MIDI FX SW’er
[完了] MIDI FX SW'er
完成の喜びから語ってみるシリーズ。
昨年の8月に着手した MIDI FX SW が約5ヶ月の作業を経て、このたび完成した。
目次
- [語る][FXSW][SW'er] [完了] MIDI FX SW'er
- 背景
- その仕様
- なにができる
- この後は
- 年表
- もっと知りたい
- 追記
背景
2000年頃にワンチップマイコンでのエフェクトループプログラマを思い立ち、製作(id:Chuck:20000107#p1)。このときの仕様は3ループを3プログラム記憶できるものであった(マニュアル選択も1系統、3-3-1と呼ぶ)。筆者の使っている BOSS のマルチエフェクタ GT-3 の外部ディストーションループに挿入して歪物の切り替えに使っていた。
この手の切り替え器の自作記事は意外と無かったので、WEBサイトにまとめて公開し、コア部品のワンチップマイコンを希望者に頒布した。お渡しした方々はみな作られたのではないかと思う。海外からも引き合いを貰った。しばらくしてだいたい引き合いが無くなったころに頒布を終了し、この製作で培ったノウハウを基にもっと大掛かりなものを作りたくなっていた。
だが、ちょっと考えては他のプロジェクトに浮気することを繰り返し、3年ほど放置していた。
しかし常に「いつかやろう」と思っていたのは事実。2004年7月のアナログシンセ ミニオフ前後にプログラムスイッチに使いたくなるようなプロフェット調のLED内蔵タクトスイッチを見つけ、意を決して購入。「部品から始まるプロジェクト」を体現することとなった。
その仕様
まず 3-3-1 で採用していた足踏み式の形状を止めた。8つのスイッチをそれなりに頑強で美しくまとめ上げることが難しいと感じたためだ。制御にはMIDIを使うのはどうだろうか。そもそも GT-3 の loop send-return に入れることが目的だったわけで、GT-3 をマスターペダルにして、そのMIDI情報で loop を切り替えればいいだろう。
箱はEIAラックケースに組むことにした。2004年4月に組み上げたアナログ・マルチエフェクタと同じ面構えにしようと思ったからだ。アナログ・マルチは制御信号さえ送れば ON/OFF できるように仕込んである。
アナログ・マルチの制御には信号のルーティングは要らない。8-loop の ON/OFF 信号さえあれば良い。そうするとモジュール・システムエフェクタの立場は? 多々あるコンパクトエフェクタの立場は? これをクリアすべく、ワンチップマイコンを二つ載せ、8-loopの制御を2ポート用意することにした。19インチサイズのラックにもいい感じでスイッチが並ぶ。信号のルーティングには別箱を用意することにして今回のエフェクトループプログラマはプログラムとその呼び出しに特化する仕様とした。
まさにこれは、「エフェクター自作&操作術」に載っていた高中正義のあのシステムではないか。
なにができる
若干冗長になるが、なにができるかまとめておこうと思う。
このMIDI FX SW は、
- 16ループをON/OFFするプログラムを512個覚えることができる
- 8ループずつ PORT0/PORT1 と結線はグループ化されている
- 覚えさせたプログラムは本機のロータリエンコーダで呼び出すことができる
- 覚えさせたプログラムはMIDI CC#0/CC#32/PC を用いて呼び出すことができる
- 対応MIDIペダルとして、Generic MIDI, BOSS GT-3/5/6/8 が使える(はず)
- この機械には信号のルーティング部は入っていない
- 以前作ったアナログ・マルチ・エフェクタは直結で制御可能 (ギャラリ)
といった特徴を持つ。
最終的な仕様はこちら id:Chuck:20050127#p1
この後は
今後のこのプロジェクトの展開としては、信号ルーティング用のリレーボックス作る。
メカニカルリレーだと楽だけど、アナログスイッチを使う場合はどうなんだろう。しっかりした電源を入れるべきなのだろうか、スイッチング電源だとやはり「飛ぶ」のだろうか。
まぁ、メカニカルリレーにしておくかな。
作るときは「頑丈」をテーマにしようと思う。
年表
- 2000年頃 前身の 3-3-1 ループプログラマを設計・製作・発表・頒布・サポート。
- その後、8ループものの仕様をたびたび考えるがその都度別プロジェクトへ浮気。
- 2004年7月 長らく引きずってもアレなので、そろそろやっつけちゃおうかなと考え始める。
- 2004年8月 初めてまとまった仕様を出した。id:Chuck:20040811
- 2004年9月 ロジックボードを組んでソフトウェアの予備実験を始める。
- 2004年10月 フロントパネル加工で躊躇。
- 2004年11月 満を持してフロントパネル加工に入る。プロフェット調LED内蔵タクトスイッチをどう収めるかがネックだった。
- ノギスで測って id:Chuck:20041103#p1
- スイッチングシステムの検索さんが id:Chuck:20041106#p1
- タクトスイッチ用の孔があいた id:Chuck:20041107#p1 id:Chuck:20041113#p1
- 各種周辺結線 id:Chuck:20041120#p1 id:Chuck:20041121#p1
- ロジックボード完成 id:Chuck:20041124#p2
- リアパネル完了 id:Chuck:20041127#p1
- 2004年12月 残った配線を時間を見つけながら行う。年末休みが味方。
- id:Chuck:20041212#p1
- 各種小基板 id:Chuck:20041219#p1 id:Chuck:20041225#p2
- そしてハードウェア完成 id:Chuck:20041226#p1
- 2005年1月 年末休み後にソフトウェアを書き始める
- 2005年2月 いよいよだ
- 完成か? id:Chuck:20050206#p1 いや、バグ発覚。
- ここに来てハード改修。そして完成 id:Chuck:20050207#p1
もっと知りたい
もっと知りたい、と思った方は この記事のコメント欄か本家ページからリンクされている掲示板にて、ご質問ください。
上から MIDI FX SW'er、アナログマルチエフェクタ、モジュールエフェクタ。
追記
本家サイトにページを設け、回路図を置いた。